小児疾患について
当院では子どもの治療も行っています。
子ども疾患は擦り傷や骨折など日常で起こりうること以外は、主に「肘内障」「扁平足」「成長による痛み」です。
肘内障(ちゅうないしょう)
症状
肘、腕の痛み。子どもが手を引っ張られた後などに、痛がって腕を下げたまま動かさなくなります。
原因
肘の靱帯から肘の外側の骨(橈骨頭)がはずれかかることによって起こります。
子どもと手をつないで歩いているとき、子どもが転びそうになりとっさに手を引っ張っるなど。
女児にやや多い傾向があり、歩き始めから小学入学前までの子どもに多いで症状です。
診断
受診時の状況と肘をやや曲げた状態で下げたままにして、痛がって動かそうとしないことから肘内障を疑います。
骨折や脱臼との鑑別のために、X線(レントゲン)検査で骨や関節に異常がないことを確認することもあります。
治療
徒手整復を行います。整復の後はいつも通りに腕をつかって大丈夫です。
ただ、手を引っ張られることによって繰り返されることもあるので注意が必要です。
扁平足
症状
土踏まずがない状態を扁平足といいます。歩き始めの時期に、足の裏が平べったいことに気付いたご家族が心配になって受診されます。
立って体重をかけたときには土踏まずはなくなっていますが、体重をかけない状態やつま先立ちをすると土踏まずがでてきます。
足の痛みや疲れやすいといった症状がある場合もあります。
原因
足にはアーチ構造があり、効率よく体重をささえるようになっています。
幼児期の扁平足では関節のまわりの靭帯がゆるみ、アーチがつぶれてかかとが外を向いています。
先天的な病気が原因の可能性もあるので、変形の程度が強い場合はご相談ください。
診断
立ったときにかかとが外を向いているかどうか、足のアーチが低下するかどうかを検査します。
幼児期の子どもは足の裏の脂肪が厚く、扁平足でなくても土踏まずが分かりにくいことがあるので注意が必要です。
治療
ほとんどの場合、成長に伴って自然にアーチが形成されるので、裸足の生活を心掛け、足の指を使うことで足の裏の筋肉を鍛えます。
つま先立ちや足の外側縁で歩く練習、鼻緒のある履物も効果があります。
成長による痛み(成長痛)
症状
膝の痛みが一番多いですが、ふくらはぎ、すね、足の関節、太ももなど、成長痛は主に下肢(足)に痛みが現れます。
痛む場所もいつも同じではなく、その時々によって異なり、痛みを感じる期間も数ヶ月から長い場合には年単位になることも。
もしかしたら成長痛かも?
- 夕方~夜、寝ているときに足の痛みを訴える
- 夜、痛みで泣き出してしまうほどでも、翌朝には元気に動いている
- 月に1~2回、週1~2回など不定期に痛む
- 遊んでいるときや学校、幼稚園、保育園に行っているときは痛いと言う回数が少ない
原因
原因は今のところまだはっきりとわかっていませんが、「ストレス」や「筋肉の疲れ」が蓄積し、痛みとして現れるのではないか?と言われており、幼児期(3歳)~児童期(12歳)あたりでみられます。
特に3歳~5歳あたりは「一次成長痛」として足の痛みが現れやすい時期です。
幼児期・学童期は足の発達が未熟な時期でもあり、日中たくさん走り回ったりすると筋肉が疲労するため、夜になると足の痛みや不快感が現れることがあります。
また、3歳~5歳頃になると自分でやらなければならないことも増え、ストレスが溜まる時期です。
診断
「夕方から夜になると突然足を痛がる」「その痛みが数時間以内の一過性のものであること」を確認し、レントゲン撮影をしても異常がなければ成長痛を疑います。
特に膝や踵の痛みを訴える場合は、成長痛ではなく「オスグッド病(膝)」や「シーバー病(踵)」など、運動をしている子どもに多いスポーツ障害である場合もあります。
治療
家庭での対処法
- マッサージをしてあげる、足をさすってあげる
- 足のストレッチ体操をする
- 足をクッションなどで上げてあげる
- しっかり睡眠をとる
- お風呂に入って温め優しくさする
- 湿布を貼る
医院での治療法